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2006年7月

番外編  『富士山頂で仁王立ち ~完結編~ 』

はっきり言って、この8合目から頂上までの間の記憶はほとんどない。極限の疲労と空気の薄さで脳が正常には機能していなかったのがひとつ。
もうひとつは、景色がまったく変わらないからなのだ。
とにかく、山頂から吹き降りる超強風と霧で何も見えない状態。そんな状態がどのくらい続いたのだろうか、おそらく実時間的には2時間程度なのだが、体感時間では2日間ぐらい歩いた気がする。
すると、それまでゆっくりとはいえ進み続けていた先頭の外国人軍団の足が止まった。
はっ、として辺りを見回すと序々に辺りは明るくなっていた。日の出が近いのか、あたりの景色がはっきりしてくると同時に、自分の置かれている状況がリアルに現実感を帯びてきた・・・
ふと上を見上げると、上にもう道はない。
『頂上だっ!!・・・』
しかし、肝心の先頭外国人集団野郎は一向に進みゃあしない。
『ふざけんな!!ここまできて頂上直前で感慨にふけってるんじゃねえよ!!』
と、思ってみたらちょっと様子が違っていた・・・
上がれないのだ、風が強すぎて・・・
信じられなかったが、よくよく考えればこの風は山のてっぺんから下に吹き降りるもの。つまり、この頂上の最後の一歩というのは言わば風の吹き出し口なのだ。
屈強そうな外国人ですら、その最後の一歩を踏み上がるのに一人3分ぐらいかかったのだからその風の強さが想像していただけるであろう。
そして数分後、私も着いた。ついに頂上に、日本一の場所に着いたのだ。


そう、日本一危険な所にね・・・


もちろん、ご来光どころか3m先すら見えず、はたしてここが富士山頂なのかすら疑わしいほどだった。
とにかく霧の中から人が現れ、また霧の中に消えていく・・・その繰り返し。

そして今回、一連の道中で一番印象に残っているシーンは、その頂上で記念撮影をしようとデジカメを構えていた人のカメラが、

“強風で霧の中に吹き飛ばされていたシーンですかね・・・”

もう、ほんとびっくり。
とにかく、気を抜いたら死ぬ。それだけはまず間違いない。なのでもうろうとする意識の中、なんとか冷静に状況判断を試みてみる。
すると、よくみると霧の中に建物がひとつ。その場にいるほとんどの人間がその建物の壁に張り付き風から身を守っている。
どうやらこの建物、頂上にある売店らしい。今にも風で吹っ飛びそうなこのほったて小屋がそこにいる登山者全員のライフラインなのだ。
数分後、そのほったて小屋に明かりが灯る。ガタガタとドアが開けられると同時に全員がなだれ込む、もう登山者ではなくて“難民”です。
中に入ると、長机に丸イスが無造作に並んでいる、吊るされた裸電球がリアルすぎだ。
室内の奥には、店員らしき一団がいた。しかしどう見ても店員などという甘い存在ではないのは一目でわかった。
読者にもわかりやすい表現で言うとね・・・

“山賊”です。

どこをどうみても山賊にしか見えない一団。そしてなだれ込む難民達に開口一番こう言い放った、

「持参した携帯コンロ等の使用は厳禁ね!!一人でもいたら“全員外に追い出すからねっ!!!」


『ありえねぇっ・・・あいつら鬼や!!』

まあ、語弊の無い様に一応補足しておきますが、山小屋の人の対応ってのはこれ常識らしいですね。彼らも命がけでこの場にいるわけで、接客精神など無くて当然なのでしょう。
が、そんなもんその時は判断できませんけどね・・・

突然話が変わって申し訳ないが今、巷では『日本沈没』なる映画が上映されているらしいですが、
あんなもん観にいくぐらいなら悪天候の富士山頂に来たほうがいいですよ。
“リアル・日本沈没状態”ですから・・・
気を落ち着かせ、もう一度その建物内を見て回る。とにかく雨風を防げる室内は外に比べれば天国だ。
そして売店だけに、当たり前だが品物が売られている。なんとか一番奥の食堂の配膳場みたいなところまでヨロヨロ歩いてみる。
その道すがらに座り込む人々は本当に洒落にならなそうな人も中にはいた。あらためて登山の怖さを思い知る。そして奥までたどり着いた私の目に飛び込んだ驚きの価格表。

「カップラーメン 800円」

まあね、日本一ですから・・・

ええ、もちろん食べましたよ、カップラーメン。800円だしてね。
悔しいぐらい、美味かった。
不覚にも涙が出てしまいましたよ・・・

果たして、長年夢みていたことの現実がこれなのか・・・と思いつつも、公言通り、富士山頂で仁王立ちしながら改めて決意したのだ。

“もう二度とこねぇ!!”

終わり。


※長々とくだらない文章すみませんでした。
次回以降はもうすこし役に立つ話を書いていきますんで・・・       

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番外編  『富士山頂で仁王立ち ~頂上アタック編~ 』

冷たい空気の中、静まり返る駐車場・・・
とはいえ車の数はさすがに少なくない。皆、いわいる“それらしい格好”をしている。
上下カッパにテレビなどでよく見かける杖を持った人がゴロゴロいる。
この時点でも半袖では肌寒い。さすが富士山。さて、今回私が無計画に計画したのは『富士吉田口』というルート。数ある登山道の中でもっとも最短距離で上がれるというもの。
富士登山最大の醍醐味である“ご来光”が始まるのが翌早朝4:30予定。
なので夜に登り始め、休み休み登りながら頂上に4:30に着く計画を立てていた。
まだ少し時間が早かったので、持参した食事をしつつ装備の再確認。さすがにこのあたりは抜かりは無い。つうかこの時点で抜かりがあれば即、死が待っている。
そして今回プチ企画として、各種スポーツドリンク飲み比べ選手権も行うことにしていた。さすがに持ちすぎは重くなりすぎるので、エントリー選手はこの3名。

エントリーNO.1 これぞ定番、ポカリスエット。
エントリーNO.2 そして永遠のライバル、アクエリアス。
エントリーNO.3 最後は佐藤琢磨がんばれ。ルーキー、スーパーH2O
以上の3種。

これを極限状態で飲み比べて、その効果度合いを確かめれば患者さんにナンバーワン・スポーツドリンクが薦められることができるなぁ、などと変な仕事意識をもちだしていた。
さて、この駐車場から実際の登山口まではバスに乗り換えて40分。いくらなんでも時間が早いのだがとにかく独りな分、早々に飽きてしまい、少し早いがバスに乗ることにした。
この時点で19時30分
さっそくバスに乗り込むと、しーんとした空気・・・というよりもむしろ誰もいない。
あれれ、出発までまだ時間があるからなのかな?と思いつつ、一番後部座席に陣取り待機。そこからよーく窓の外をみると、
気がつけばその駐車場にいる登山客はもうすでに富士登山を終了して帰り支度をする人がほとんどだったのだ。
大量の不安感を抱きつつも、独りの登山客を乗せたバスは定刻通り出発した。

20時00分 富士宮登山口着。

さすがにそこには他の登山客もいた。そして天候はといえば・・・少々風が強い程度で快晴。星まで見れる。

『これはご来光が期待できそうだ・・・』

とはいえいきなり登るわけにはいかない。あらゆる情報サイトにも載っていたのだが、
“5合目付近で必ず1時間ほど高地に身体を慣らす必要がある”
という注意事項。
高山病対策らしいのだが、さすがにこれはきちんと守る必要性があるだろう。なんたって人間の身体は“環境の変化”に一番弱い。それは仕事柄重々承知している。
がんばって耐えに耐え、21時30分、いよいよ『富士山頂で仁王立ちツアー』のスタートである。

6合目、7合目までは驚くほど順調な滑り出しだった。時間も余裕がありすぎるぐらいなのでゆっくりと上がる。
日頃、バタバタ忙しく生活しているせいか、こんなにもゆっくり自分自身と向き合える時間はないのではないかと感じるほどだ。
仕事の事、将来のこと、自分のこと・・・
この時間があっただけでもこの富士登山は来て良かったのではないかと思えた・・・

8合目までは・・・。



富士山8合目、あたりの様子は一変した。
とにかく何がすごいかって風がすごいのですよ。
どうりでこりゃあ毎年人が死ぬ訳だ、と納得してしまう。
正直、立ってなどいられない。気合を入れて足を前に出さないと出やしない。目もまともに開けてられないからなおさらたちが悪い。
休憩の時も山小屋の壁に張り付いて風を避けていないと急激に体力が奪われるのが手に取るようにわかる。
もうスポーツドリンクなんてどうでもいい。なに飲んだって同じ。この状況は変わりゃしないのだ。
しかし、ここが素人単独登山の怖いところ。こんな状況でも
『あぁ、富士山ってこういうものなんだなぁ・・・』
とその時は思ってしまっていた。
おそらく、すでに軽い高山病にかかっていたのであろう。ほとんどの登山客が引き返す中、
『たぶん、頂上は晴れてるんじゃないかなぁ・・・』と、まったくもって根拠のない自信で頂上アタックを決意。もう判断力壊れすぎ、あたま悪すぎです。
そしてついに、わけのわからん屈強な外国人メンバー4人組みについて行くような形で頂上を目指した。

超強風と霧と雨の中・・・ 

つづく。

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番外編  『富士山頂で仁王立ち ~思いつき出発編~ 』 

基本的には、あまり個人的な内容はこの場では書かないようにしてきたのだが、(といっても別段まともな文章でもないが・・・)
今回はちょっと個人的な体験談を書かせてもらいたい。
どうも、こんにちは。大川カイロプラクティックセンター院長の成木海次郎です。
季節は夏真っ盛り。7月も後半ともなると暑い。(書いている今は涼しいが・・・)
私は毎年夏になると、いつもやろうやろうと思いつつ、結局今の今までやらずにきてしまった事がある。
別段、大それた事ではないのだが。
そう、それは『富士山に登る』ということだ。
富士山自体、患者さんの中でも登山経験のある方はたくさんいるのでいろいろと話には聞いていた。

“きつかったが頂上まで登りきった達成感がたまらない”
とか、
“頂上から見るご来光は正に感動そのもの”
など、まあ経験者の話はつきない。正直、私もこのぐらいの歳になると“人生初体験”的出来事から縁遠くなるし、思いついても実行しない傾向が強まる。
日頃、仕事柄患者さんに対して「変わりましょう」みたいなことを口にする割には自分自身が変わらないのはいかがなものか・・・
ということで、先ごろの7月16・17の貴重な連休を利用して
行って来ましたよその国、富士山。

もちろん独りで。

しかも夜中に・・・


とりあえず、インターネットを駆使して集められるだけの情報を入手。持ち物やら登山ルートやら調べれば出るわ出るは。
とはいえ、実は富士山に近づくのはこれが初めてではない。2年前に思いつきで立ち寄った際、7合目まで駆け上がった経験がある。

ハーフパンツにタンクトップという格好で・・・

その時は突然の雹に降られ、見知らぬ登山家おやじに散々怒られ富士山を後にした苦い経験がある。
今回はさすがにその時とは違い本気で頂上を、てっぺんを狙いにいくわけだから、事前準備は慎重にもなる。
とはいえ所詮は初心者の単独登山。人間、知らないということは恐ろしい。
慎重にといったところで比較する経験的ものが無ければ慎重もへったくれもない。
そもそも未体験の世界に“普通”という概念は存在しない。だが“知らぬが仏”とはよくいったもの。無謀な行動ですら慎重と勘違いしてしまうのだ。
そして当日、とりあえず自分なりには準備万端。まあなんとかなるでしょう、ぐらいの気持ちで自宅を車で出発。
それが7月16日 16時30分

出発後すぐ、アウトドア用品も取り揃える中型のスーパーを発見。なんとなく立ち寄ってみることにした。
さすがに夏シーズン真っ盛り。アウトドア用品が豊富に取り揃えてある。
しかもご丁寧に“登山グッツコーナー”まで。そこで目にした“ヘッドライト”と“ザックカバー(リュックが雨に濡れないようにするカバー)”が目に入り、なんとなく購入した。
そしてこれが、のちほど命運をわける結果になるとは思いもしない・・・

そして東名高速にのり御殿場インターへ。この時期は富士山もシーズン真っ盛りなのでマイカー規制がかかっているらしく、登山道少し手前の無料駐車場に車を停め、そこから指定のシャトルバスに乗り換えなければならない。
つまりそれだけこの時期、富士山の頂上を目指す人が多いということ。単身乗り込んだところで必ず誰かがいるはず。
安心なはずだ。
そして、水ヶ塚駐車場というところに到着。18時00分

そこには雲に覆われた日本一の姿があった・・・
めちゃ寒っ!!   

つづく。     

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# 53 出口 入口 出入口

良い子 悪い子 普通の子 みたいなタイトルですが。ちなみに私は“間の悪い子”でしたけどね・・・
どうも、こんにちは院長の成木海次郎です。
今回は私が高校のときの話。今でもお付き合いさせていただいている、当時は顔をみるのも嫌なぐらいきらいだった恩師に言われたエピソードについて。
そもそも、今の私の“物事をまっすぐに見ない聞かない”というスタイルはこの先生の影響といっても過言ではない。まあ、それが今この仕事をする上で非常に役に立っているのだが。
ある日、授業中(数学の時間だったが)ボーっと物想いにふけっていたら突然その先生に、
『おいっ!これはなんだ、答えてみろ!!』と教室のドアを指差しながら言われた。
「は?なんだといわれても・・・ドアですよね・・・」
内心は、またなんだかわけのわからんお説教がはじまったよと思いつつ返答した。するとさらに口調が荒くなり『そういう意味じゃねぇ!もっと別の捕らえ方があるだろっ!!』
なんだいなんだいこのおっさんは、まったく。今は数学の授業中じゃないのかい。とはいえ、このまま返答せずにすむような相手じゃないし、以前にも“この手”のわけのわからん質問を浴びせられた経験から推測して返答した。
「教室のドアじゃなければ“出口”ですか!」
すると先生すかさずニヤッと笑って授業中にもかかわらず、私をその“出口”から廊下に引っ張り出して再び質問した。
『おいっ!じゃあ今度はこれはなんだ、答えてみろ!!』と廊下側から再度教室のドアを指差しながら言われた。
「えぇっ・・・い、“入口”ですか?」
『なんだよ!さっきは“出口”っていったじゃねえか』
何を屁理屈をこねてんだい、まったく。とあきれた所にとどめの一言、
『そういう時はな、“出入口”って言うんだ、覚えとけっ!!ものの名前なんて見る側の立ち位置によって変わるんだからな。中にいる人は“出口”なものでも外にいる人間にとってはそれは“入口”なんだ。同じものでも名前が同じとは限らないんだからな!!』

正直、このやりとり。当時の自分はただお説教をくらって腹をたてていただけだったが・・・。
だが今になると、とくに今私が日々取り組んでいる“人間を相手にする仕事”をするにあたり、この考え方・モノの見方は非常に役立っている。患者さんによって価値観や考え方は違う。その患者さんが“入口”側にいるのか“出口”側にいるのかで対応の仕方は変わっていかなければならないはず。
腰痛や肩こりもそう。その名前ばかりに気をとられたら変わるものもかわらないのだ。
身体の調子が“良い”のも“悪い”のも元をたどせば同じ身体なのです。人間、年々身体だけでなく、頭も固くなってしまいますからね。

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# 52 転んでもタダでは起きぬ 創傷治療の理想と現実を考える

腰痛や肩こりなどの整体業界に限らず、医療の世界では常に新しい情報が生まれてくる・・・
今回まずは、こちらのサイトを観て頂きたい。当院、大川カイロプラクティックセンターのリンクページからもいけますが。
『新しい創傷治療』http://www.wound-treatment.jp/
まあ観てもらうとわかるのですが、簡単に言うと、今まで擦り傷や切り傷といった一般的な怪我の治療には“消毒して絆創膏”というのが常識で、私を含め数多くの人たちがこの方法で肘や膝の怪我を克服してきたはずだ。
ところがどっこい、実はこの“消毒して絆創膏”という一連の治療方法は傷を治すどころか逆に傷の治りを遅くするという事実があるのだ。そのあたりの詳しいメカニズムは先ほどのサイトのほうを観て頂くとして、とにかく寝耳に水どころか、いい歳になってから自分の母親が本当の母親ではないのを告げられたような衝撃・・・
「じゃあ今までのはなんだったんだよぉ~!!」とか叫んで家を飛び出しちゃうような衝動にかられますが。
まあ、実際この話自体はもっぱらマスコミやらインターネットを含めてよく出てくる話題なのでご存知な方も多いでしょうから、
なにも私が今さらこの場でさも知識を自慢気に書きたいわけではないのですよ。
私が前から気になっていた点、
ひとつは“消毒に絆創膏がよくないわりにはなぜ相変わらず使われ続けているのか?”という事。
そしてもうひとつは
“そもそも本当に新しい創傷治療方法の方が従来の消毒&絆創膏方法よりも治りが早いのか?”
この2点である。
そして偶然にもこの2つの謎を解き明かすチャンスがやってきた、しかもラブストーリーよろしくそれは突然やってきた。
どうも、相変わらず前置きの長い大川カイロプラクティックセンター院長の成木海次郎です。
いやいや、実は先日、通勤中の自転車でおもいっきり転びましてね。走行中カバンに絡まったiPodのコードをほどいていたら急に地球が近づいてきたんですよ。
結局、右肘と右膝の王道2ヶ所をおもいっきり擦り剥きまして・・・
でもこれで実験するための準備が整ったわけですよ。何事も自分で確かめてみないと納得できない性質。
ここに新旧創傷治療法対決の始まりである。
まずは、両者の紹介。現チャンピオン、長年にわたり活躍し続けているおなじみ絆創膏(大判)。
そしてチャレンジャーはジョンソン・エンド・ジョンソンから発売している「キズパワーパッド」の登場です。
この「キズパワーパッド」の特徴は、従来の絆創膏がガーゼで吸い取ってしまっていた傷口からにじみ出ている体液(滲出液)を保持し、その傷を治す成分である滲出液の効果が発揮できる環境を維持してくれるすぐれものらしい。
なので、傷自体は同時にできたものなので時間的なハンデはないので、傷のひどい右肘にはこの新しい「キズパワーパッド」を。
そして右膝のほうには絆創膏を貼りどちらが傷が早く治るのか、自らの身体を張った人体実験が始まったのだった。

初日、膝の絆創膏の方はいつもと同じような感じというか、相も変わらずな様子。まあ、いままでもずっとこうやって適当にほっといたわけだしなぁ・・・とのんびり眺めていた。
一方、新米「キズパワーパッド」の方はと言うと、“例の”滲出液とやらが順調に染み出ているらしく、ぽこっと白く膨らんでいた。
ふむふむ、これでバイ菌共がぶち殺されているわけなのだな。なんとなく見た目にも治っている感が強い気がした。
そして大事な大事な入浴タイム。擦り傷の際、一番やっかいだったのがこの入浴。しかし驚くことにこの「キズパワーパッド」、水にも強く入浴しシャワーをこれでもかと浴びせてもびくともしないすぐれもの。
これはなかなかやるなぁ、などど、ここまできたら「キズパワーパッド」の圧勝でしょうと思い一日目終了。就寝・・・

が、二日目。事態は思わぬ展開を見せた。目が覚めると、私の身体から出すぎた滲出液とやらがパットの吸収保有量をあっさり超えたらしく、そのネバネバとした液が漏れた状態で寝返りをしまくっていたのだ・・・
まあ、ある意味起きたら地獄絵図ですよ。シーツの汚れ度合いといったらもう最悪。元々シーツはこんな柄だったかと錯覚するぐらい。この辺りから序々に様子が変わってきた。
誤解のないように最初に述べておきますが、傷の治り度合いに関して言えば、間違いなく新しい「キズパワーパッド」の方が上なのだが、
私のように滲出液の出る量が多い人間にとっては半日すると膨れすぎてあの悪魔のような液体が飛び出してきてしまうのだ。
そもそも、すり傷・きり傷の際になぜなんらかしら張ろうとするのかと言えば、
“血が何かに付かないようにするため”という意味合いが一番強い。
たしかに比べてみた結果、回復スピードの違いは実感できた。新しい創傷治療法、「キズパワーパッド」の方が上だ。しかし、当たり前の極論だが“別に絆創膏でもいずれは治るのだ”。
始めに述べたもうひとつの疑問、
“消毒に絆創膏がよくないわりにはなぜ相変わらず使われ続けているのか?”
これはやはりこまめに張り替えられることができるという利便性とコストの差があると思う。コストの差・・・ちなみに普通の絆創膏比べ、「キズパワーパッド」は倍の値段する。液漏れしたら張り替えりゃいいのだが貧乏性なのか渋ってしまう。
逆に絆創膏はだいたいどこの家にも買い置きが存在する。なぜなら安いから沢山入っているやつを購入している場合が多いからだ。
そんな中、わざわざ倍の値段を払って新しいものを購入しようという気には中々なれない気がする。再度、誤解の無いように書きますが治りが早いのは「キズパワーパッド」です。だが、ここが人間の悲しい性。どのみち治るなら、
“今までのやり方から変えるのはめんどくさい”
と、素直に思ってしまう生き物なのだ。
正しいことが世に出回っているとは限らない。事実、薬局に行っても棚にあるのは大量の消毒薬と絆創膏の山。その片隅に1種類だけある倍の値段の「キズパワーパッド」・・・なんだかねぇとしみじみ思う。
そしてこれは何も創傷治療の世界だけの話ではない。整体やカイロプラクティック業界にあいかわらず出回っている「腰痛には安静」の文字。
腰痛に安静などまったくもって必要ないものなのに・・・だが悲しいかな、腰痛も同じく安静にしていてもいずれは治るのだ。時間が長くかかってしまうけれど・・・大量に世に出回っている“絆創膏と安静”・・・いったいいつになったら消えるのだろうか・・・そんな日がくるのであろうか。そして書いているうちにまた話が長くなってしまったよ。
反省。

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