#22 それは一本の電話から始まった・・・
快晴でスタートした月曜日、ふいに治療院の電話がなった。基本的にうちでは電話をとるのは紅一点、女性スタッフの横江さんのお仕事。しかしその時はいなかったのでもう一人のスタッフの古川先生が電話をとった。
わりとどうでもいい話だが、私は耳はいい。けっこう自信がある。
痩せても枯れても元映画学科出身の音専門でしたからね。
なのでどんな電話でもスタッフの応対を聞き取れば、たいがいの内容を把握することができる、が今回の電話は少し様子が変であった。
手があいてから電話の内容を聞いてみると、うちに通ってくださってる患者さんがバイクで転倒し足首を骨折して入院したとの電話であった。
「おいおい、だって先週の木曜きて今週も木曜に予約はいってるじゃん・・・」
その患者さん(以後仮名“スター”と表記します)、スターは毎週木曜に来院する、まあテレビ番組のレギュラーみたいな存在の人なのだ。
スターは職場も当院近くな上に、年齢的にも私と近いので毎回来院してくれるのを楽しみにしていたほどだ。
とにかくこれはお見舞いに行かねばと、20日の午前中に行くことした。
幸いな事に命に別状や重体ではないらしく、意識もはっきりしているとの事だったので、お見舞いの品はあれこれ考えたあげく“某図かずお先生作『漂流教室』全巻”
を近所のブックオフで購入した。(本当は手塚治虫先生のブッタ全12巻にしようと思ったのだが・・・)
病院自体も私の自宅からさほど遠くないのですぐ着いた。非常に大きく新しい病院にちょっとびっくりしながら受付で病室を尋ねた。
指定された病室にいくと、点滴を下げたスターがちょうど看護婦さんに抱えられながら車椅子にうつる瞬間であった。
スターの第一声「あ、まずい・・・」
ちょっとちょっとなにがまずいのよ!!
しかし怪我の部分はともかく、思ったより元気そうな姿に安心した。
ちょうどこれからリハビリ室でリハビリをするらしく、看護士さんが私がカイロプラクティックの先生だと言ったらあっさりと
「じゃあ一緒に来てみなさいよ」と快く言ってくれた。
病院のリハビリ室・・・当院に来院される患者さんから話こそ聞いたことはあるが実際足を踏み入れるのは初めてである。しかも自分の患者さんと入るから不思議なものだ。
部屋は思っていたよりも広く各種運動器具が存在し、さながらスポーツジムのような感じであった。
ただ少しだけ違うのはほとんどの方がご年輩の方だった。
数年後、世の中の4人に1人が高齢者も、こりゃああながちうそじゃないなと思わされた。
スターのリハビリは今日が初日らしく足の筋肉の基本的な動作の反復であった。
理学療法士さんが一人ついてくれていたが、少し気になったのが、ひとつひとつの動作に対して
『どの部分の筋肉をどのように使うのか』というような説明があまりないという事だった。ただやるだけでは自分でどんな運動をしているかイメージできないのではないかと思った。案の定、リハビリ後病室に戻ったスターに聞いてみたらたしかにピンとはきていなかった。
それはそうであろう。ただでさえあちこち擦り傷、打撲で痛いのに
「はい、やってください」ではピンとこいというほうが酷な話だ。
病室に戻ったスターは、やはり疲労と、寝ている姿勢でいる時間が長いせいで肩の痛みと頭痛を訴えていた。
『目の前に痛みを訴える人』その前にいる『カイロプラクター』・・・
「じゃあスター、お見舞いついでに軽く肩でも揉んであげるよ」
まあ、そうなりますよね・・・
と言って外傷が無いことを確認して肩を揉んであげていた。
が、数分後、ある気配を背中に感じた。
その病室にいる他の患者さんの視線がブッスブッス刺さってきた。「わたしもやってちょうだい・・・」
まさにそんな魂の叫びのような視線を背中に浴びつつ、仮にいまここで
「今からマッサージやってあげますよー」
などと言ったら、それこそ韓国四天王の一人が来日したぐらいの
熱い歓迎をうけるのかなと思いつつ肩を揉んでいた。病院というある意味、閉ざされた環境の中で、もしかしたら私達の
「カイロプラクティック」という技術はもっともっと患者さんの役にたてるんじゃないのかと思いつつ病院を後にした。これも良い機会なので、時間をみてスターのお見舞いもしつつ、
病院という場所をもっと詳しくみてみようと、理学療法士の方々ともいろんな話をしてみようと決意した院長でした。スター、お大事にね。
| 固定リンク

